さぁ、M様邸のご紹介ツアーも今日で最後です。
表題にあります ”
粋とは?”と銘打ったのは、この最終話の為。
奥様から
「
粋に仕上げて」
「
粋な感じで」
「
粋なお店に行ったのよ。あのイメージにしたい」
などなど、”
粋”というあまりに漠然とした要望の中から、無い智恵絞って考えた私らなりの”粋”のつまった和室が出てきます。
まずその前に前回の続き。 リビング横のダイニング・キッチンのご紹介です。
こちらのキッチンはTOTOのクラッソ
機能が充実しているのは当然ですが、立ち仕事がしにくくなる事も想定して、水栓のフットスイッチを付けております。
弊社現場監督が、奥様に使い方を説明しております。
あっ、そうそう。手前のテーブルはマルト製作ダイニングテーブルです。
「ケヤキの板はイヤ。スギやヒノキといったやわらかい白い木もイヤ。あそこに合うテーブルにして」
といういつもながら非常に難しい要望でしたので、あえて和風な板ではなくキッチンの扉柄に合うよう、ウォールナットの少し色が薄いタイプの板を探してきました。
そしてそのテーブル上にあるおかしな照明器具がわかりますか?
これ、照明器具一体の換気扇なんです。
前回にも書きました、ヘビースモーカーである事と焼肉をよくするという事で、こちらを採用です。
当初は焼肉屋の鉄板と換気セットを買うとまで仰ってたのですが、ここは予算と見た目で却下となりました。
そして、キッチンとヒノキカウンターの間には奥様ご要望の”
粋”なしつらえのタテ格子。 リビングから丸見えのキッチンをソフトに目隠しできるという事で採用しました。
では本題の和室。キッチンでクルッと反転すると千本格子(万本かな)の黒い格子の障子があります
こちらはもちろん引き違いではなく2枚引き込み戸。とにかく
開口は広く!が基本です
奥様の中での”
粋”な家のコンセプトに、小上がりの畳の間は必要不可欠だったので、ここだけはあえてバリアフリーにしていませんが、もちろんこんなチャンスは有効利用します
はい、引き出し収~納~!(ドラえもん風に)
使えるところは最大限に利用です。
さっきチラっと部屋の中が見えませんでしたか?
そうです
こちらがM様邸の”粋”の真髄、和室です
天井は飾り黒竹に和紙と葦を編んだ紙で貼り訳しています。真壁構造で桧柱は4寸角のムジ(節無しって意味です)。壁はもちろん珪藻土塗りで、畳は天然イグサのヘリなし畳(琉球畳風)
丸窓の向こうに見える景色は、母家のお庭。離れでも見れるように設計しています。
こういうの借景といっていいのかな?
丸窓の中心に、お庭の松が良い感じで入ってますね。
視線が気になる、陽の強さを加減したいという事も考えて、この丸窓には内障子を付けています。
閉めるとこんな感じ
床の間は”浮き床”にし、間接照明を入れてみました。あえてコテコテの純和風の床の間にするのではなく、現代の感覚を取り入れた、所謂
和風モダン に仕上げました。
夜はこんな感じ
あと、写真では表現出来ないのですが、建物の基礎の下(地中)に蓄熱する床暖房方式”
サーマスラブ”を採用していますので、お引渡し時(1月末)でも家全体の温度は20~22度。
輻射熱で床だけでなく空間全体が温まっていますので均一した春のような暖かさがあります。また、家中どこに行っても同じ温度ですので、冬場によく起こる
ヒートショック(居室からトイレ、フロから脱衣など、温度変化の激しいところを移動すると、体が温度変化にさらされ血圧が急変し、脳卒中や心筋梗塞などをおこす)のキケンも軽減されます。
今回のM様邸は、いかがでしたでしょう?
お気づきの方も多いでしょうが、決してお安く造れるお家ではありません。しかし、これから家造りを考えるまた造っていかれる御施主様にとっては、参考になる間取り・仕掛け・ヒントがたくさんあったお家だと思います。
”
粋”という言葉がコンセプトではありましたが、その中に弊社オススメの
無垢の木であったり、
老後の生活を考えたプランであったり、使い勝手であったり、色々な要素を入れ込みながら設計・施工させて頂きました。
施工中にはM様にご迷惑をお掛けした事もありましたが、最後には
「知り合いが建てる言うたら紹介してあげるわ」
と大変うれしいお言葉も頂戴しました。
紹介頂けなくても、そのお言葉だけでどんな苦労も吹っ飛びますね。営業冥利につきます。ありがとうございました。
以上で、三部作となったM様邸のご紹介を終わります。
長文失礼いたしました。